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Off Time Vol.04
メキシコ天道流合気道は、1995年に現在のメキシコ天道流責任者である
アルフレッド・コロナ氏らによって発足されました。
およそ8年に及ぶ彼らの念願が叶い、この度メキシコで初となる
清水健二先生のセミナーが開催されました。('05.11月)


 10月3日、成田空港からロサンゼルス経由でメキシコシティーへ。移動時間は成田を離陸してから、約20時間にも及ぶものになり、夜の8時に到着。まず最初に我々を出迎えてくれたのは、光の粒をまき散らしたようなメキシコシティー上空の夜景で、これほどまでに広大に光り輝く夜景を今までに見た経験はありませんでした。空気のせいなのかはるか遠くまで見渡すことができます。

 さて、みなさんのメキシコに対するイメージはどのようなものでしょうか?よく西部劇に出てくるサボテンの生えた埃っぽい大地や、ポンチョを着た人達、テキーラ・・・などなど。実際、首都であるメキシコシティーの中心街は近代的なビル群が立ち並び、欧米とまったく変わらない風景が広がっています。何よりも自分のイメージと異なっていたものは、メキシコの人々の人間性です。印象的だったのは、レストランのウェイターさん達の礼儀正しく、サービスのある態度です。日本もサービスに関しては秀でていると思っていましたが、彼らは心から接客をしているという感想を持ちました。ただ陽気なだけではなく、テキパキとした行動の中にも自然と生まれる笑顔には頭が下がります。毎回、新しい国へ行き人々と触れ合うことで、少なからず自分の間違った固定観念に気付かされるものです。

 10月6日のセミナー初日、稽古時間は1時間15分。参加人数はおよそ40人。清水先生のセミナーが開催されるとのことで多くの問い合わせがあったらしいのですが、今回は天道流の門人だけの選ばれたメンバーが参加しました。このセミナーのために畳を新しく買い替えたのだと教えてもらいました。道場内の雰囲気はとても静かで規律があり、こちらの指導者達がしっかりと武道のマナーを伝えているのだと感じることができます。毎年、日本の天道館にメキシコ天道流の指導者が来館し、見たり、学んだりしたもの全てをそのままこちらで教えているのだと聞きました。

 まず最初にこちらで稽古をして感じたことは、呼吸をすることの難しさです。それまでは何の違和感も無く普通に生活していられたのですが、メキシコシティーは標高約2300mの位置にあり、急な激しい動きをするとさすがに酸素の薄さを感じずにはいられませんでした。鼻からのどにかけての気道が、きゅーっと絞めつけられる感じです。徐々に慣れていくことは出来ましたが、自分の知らないいろいろな場所にも合気道はあるのだとこのような形で改めて認識させられました。メキシコという、文化や言葉、歴史などの異なる場所で日本の伝統文化である武道を稽古している。合気道の魅力を再度考えさせられました。

 メキシコ人の平均身長は欧米人に比べて低く、日本人に似た体系と言えます。そのため、力で行わない、いい合気道をするなと思いました。先にも述べた通り、天道館に来館した経験のあるメキシコの責任者達は、天道流の合気道を技だけでなく、マナーや精神性もしっかりと根付かせようと努力していることがわかります。五日間のセミナーにおいて、日本の天道館での稽古と何の違和感もなく練習をすることができました。

 指導という立場でメキシコへ来たつもりでいたのですが、実際に彼らが畳の上でひたむきに稽古をする姿を見て、逆に背筋を伸ばされました。稽古に臨む姿勢、先生の言葉を一言も逃さぬように、今学べるものをすべて自分の体の一部にしようという気持ちがひしひしと伝わり、それは、日本から来た先生に直接学べる喜びと、栄誉の思いが合気道の稽古を通して我々に伝わってきたのだと思います。

 五日間のセミナーの後、門人の家でさよならパーティーを開いて頂き、門人の皆さんはそれぞれに今回のセミナーは素晴らしかったと、語っていました。メキシコという地でまた新しい一歩が記されたのだと強く感じました。

 最後にメキシコ天道流責任者であるアルフレッド氏(左の写真の右端)の『国籍が違っていても、天道流合気道の門人は皆同じです。』という言葉がとても印象に残りました。

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